この記事では、野生のタガメが生息する環境の特徴や、季節ごとの行動パターン、具体的な捕まえ方、そして絶対に遵守すべき採集ルールについて詳しく解説します。
この記事でわかること
- 野生のタガメが生息している里山の環境の共通点と探し方
- 春夏の繁殖期と秋冬の越冬期におけるタガメの行動と採集時期
- 特定第二種国内希少野生動植物種としての法規制と、合法な採集範囲の境界線
野生のタガメが生息する環境の共通点!田んぼや用水路の探し方
野生のタガメを探す上で最も重要なのは、彼らが好む水辺の条件を正しく理解し、無駄な捜索を避けることです。
タガメが住み着いている場所には、明確な共通点があります。それは「流れが非常に緩やかであること」「隠れ家となる水草や底泥が豊かであること」「無農薬に近いクリーンな水質であること」の3点です。
具体的には、近代的なコンクリートで固められた水路ではなく、土壁が残る古い用水路や、放棄された休耕田、あるいは水草が生い茂る静かなため池や沼などが絶好のポイントとなります。餌となるアマガエルやドジョウ、小魚が多数生息している水辺環境であれば、タガメに出会える確率はさらに高まります。
| 生息環境のタイプ | 特徴と探し方のヒント |
|---|---|
| 無農薬の田んぼ | 泥底で水深が浅く、周囲にあぜ道や雑木林がある場所 |
| 土壁の用水路 | 流れがほとんどなく、落ち葉や枝がたまりになっている隅っこ |
| 休耕田・湿地 | 一年中水が涸れず、コナギやキクモなどの水草が生い茂る場所 |
| ため池・沼の周囲 | 岸辺に草が生い茂り、泥が適度に沈殿している浅瀬 |
季節ごとのタガメの行動パターンと最適な採集時期
タガメは季節の移り変わりに応じて生息場所を移動させるため、時期に応じた行動パターンを捉えることが採集を成功させる近道です。
春から夏:活発に捕食と繁殖を行う田んぼ周辺
春(4月〜5月)になり気温が上がると、冬眠から覚めたタガメは繁殖と活発な捕食活動を開始します。
この時期から夏(6月〜8月)にかけては、産卵場所となる水草や杭が豊富にある「田んぼの内部」や、そのすぐ脇を流れる「浅い用水路」が主な活動拠点となります。夏場は餌となるカエルを求めて、夜間に街灯や電柱の明かり(光)に向かって飛翔することもあり、時にはベランダや屋外プールに迷い込んで落下している様子が目撃されます。
秋から冬:越冬場所を求めて移動する用水路や深場
秋(9月〜10月)になると、田んぼの稲刈りに合わせて水が抜かれるため、タガメは水のある場所を求めて移動します。
彼らは田んぼから繋がる少し深さのある用水路や、近くのため池へと大移動を行います。さらに冬(11月〜3月)の時期には、水温の低下とともに完全に活動を停止し、水底の泥の中や、岸辺の落ち葉、湿った水苔の隙間に潜り込んで長い冬眠に入ります。そのため、冬場にタガメの姿を水面で見つけることはほぼ不可能です。
具体的なタガメの捕まえ方!ライトトラップや罠の仕掛け方
タガメは警戒心が非常に強く、日中は水草の陰に深く潜んでいるため、ただ水面を眺めているだけでは捕獲できません。
最も確実な採集方法は、網口の広い「タモ網」を使用し、水草の根元や落ち葉のたまりをガサガサとすくい取る「ガサガサ」と呼ばれる手法です。タガメがしがみついている水草ごと、下から包み込むようにすくい上げるのがコツです。
また、タガメが「光に向かって飛ぶ習性(正の走光性)」を利用した「ライトトラップ」も非常に有効です。生息地に近い開けた場所に白いシーツを張り、強力な水銀灯やブラックライトを照射して、夜間に飛来する個体を待ち受けます。さらに、プラスチック製のペットボトル罠(内部に煮干しなどの匂い餌を入れたもの)を夕方に水路へ沈めておき、翌朝回収する仕掛け罠も効果的です。
全国の目撃地域と採集ポイント!茨城・岐阜など主要な生息分布
日本の野生タガメは、開発の影響により東日本を中心に激減していますが、適切な自然が残る一部の地域では現在も局所的に生息しています。
関東・中部地方の生息傾向と目撃エリア
関東地方では、かつて多くの個体が見られた千葉県の印旛沼周辺や栃木県、群馬県、茨城県の一部の里山エリアで今も目撃情報があります。
中部地方においては、岐阜県や三重県の小川やため池が比較的有名な生息エリアです。特に岐阜県周辺は豊かな水源と里山環境が維持されている地域が多く、アクア・トトぎふなどの水族館でも熱心な保全活動が紹介されています。
近畿・九州地方の生息環境とポイント
関西地方では、滋賀県の琵琶湖周辺の内湖や、兵庫県、和歌山県の山間部に点在する古い農耕地が貴重な生息分布域となっています。
さらに西日本から九州地方(佐賀県や熊本県など)にかけては、比較的温暖な気候と広大な水田地帯が残っているため、東日本に比べて野生個体の発見確率が高い傾向にあります。ただし、いずれの地域でも具体的な詳細スポットは乱獲防止のために秘匿されるのが一般的です。
【ルール遵守】捕獲や持ち帰りはOK?特定第二種法律の境界線
タガメを採集する上で、現代において最も重視しなければならないのが「法律上のルール」です。
タガメは2020年2月より、種の保存法に基づき「特定第二種国内希少野生動植物種」に指定されました。この指定に伴い、商業目的の売買、オークションへの出品、ネットでの取引、および販売を目的とした捕獲や持ち出しは、高額な罰金が科される完全な「違法行為」となりました。
一方で、個人が「趣味で飼育するため」や「研究や観察のため」に、野生個体を自分で捕獲し、数匹程度を自宅へ持ち帰って飼育すること自体は、現在も合法の範囲内と認められています。つまり、自分で捕まえて自分で育てる分には問題ありませんが、それを他人に譲渡したり販売したりした時点でアウトとなります。
【Q&A】タガメの生息地と採集に関するよくある質問
タガメを見つけたら警察や役所に報告する義務はありますか?
野生のタガメを発見したとしても、警察や役所、環境省などに報告・届け出を行う法的義務は一切ありません。ただし、生息地情報の流出は密猟や乱獲を招く原因となりますので、見つけた場所の具体的な住所などはSNS等で公開せず、自身の心の中に留めておくことが推奨されます。
子供と一緒に安全に採集するための注意点は?
タガメが生息する用水路やため池は、足元が滑りやすく急に深くなっている場所が多いため、ライフジャケットの着用や長靴の準備など、水難事故への備えを徹底してください。また、タガメに直接触れる際は、鋭い口吻で刺される危険があるため、頭の後ろ側を優しく掴むように指導してあげてください。
採集した個体を自宅に持ち帰って飼育することは可能ですか?
非商業目的の個人使用であれば、採集した個体を自宅に持ち帰って飼育することは法律上、完全に認められています。ただし、タガメは水質の変化や餌の確保が非常に難しい昆虫ですので、飼育環境(カルキを抜いた水や生き餌など)を完璧に整えた上で、責任を持って持ち帰るようにしてください。
まとめ:自然のルールを守りながらタガメの採集を楽しもう
野生のタガメ探しは、日本の豊かな原風景と出会う素晴らしい体験です。
しかし 絶滅危惧種に指定された歴史背景はこちら でも紹介している通り、彼らは人知れず絶滅の危機と戦っています。
法律による取引規制のルールはこちら に従って、商業取引などの違法行為を絶対に排除し、個人が楽しむ範囲でのルールを守った採集を心がけましょう。いつまでも日本の田んぼにタガメが生き続けられるよう、節度ある行動が生態系の保護へと繋がります。

